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その手で止めたもの

それが故郷に、彼が姿を見せた最後だった。


「何をされていたのですか?」
「龍神様に挨拶を」


地図に載らない、山奥の故郷。
かつて己が捨てた場所。
一族の繁栄と、血塗られた歴史の舞台。
そこを流れる川と、一体を治め続けている神。

「私の代で儀式が途絶えるのを、了承頂いた」

故郷は一度滅んでいる。
己が捨てた時、後継者がおらず里は分裂し、争い、散り散りになった。
血塗られた連鎖は止まったが、同時に伝統、継承も失われた。
己の帰還で一時復活したものの、継承できる人材は途絶えていた。

「これからは里の祠に、供物を絶やさぬだけでいい」
「分かりました」
「何かあれば編纂した資料がある、参考にするといい」
「ありがとうございます」


従者を連れて、里を下る。
もはや昔の面影はなく、今住んでいる者達も、かつての一族とは無関係だ。
これでも里を復興したと言えるだろうか?
否、故郷は滅んだのだ。
それを取り戻す事はできなかった。

「小雑賀、雪は降っているか」
「降っていますよ」
「そうか」

しんしんとした気配が、降ってくる。
里が白に染まる様を、遠い遠い思い出から、見ている。

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2010.01.22 | | Comments(0) | Trackback(0) | Last Memory

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