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獣と妖精は、古くからそこに居た。
役目を終える事を目的として、そこに居た。

終わりが目前に迫り、それを喜べないで居る。





シエロと、ジュノー。
二人の役割は、主の魂を運ぶこと。
それを目的とし、喜びとし、そこに居る。

だが、別れというものに、二人は戸惑う。

主は感覚を失った。
残された音を頼りに、今は縁側に座っている。
静かに、何かを待っているかのように。

触覚…肌の感覚を失った主は、気配を感じ取るのも鈍くなった。
ぼんやりとした意識の壁を抜けても、反応しない。
「主よ」
そう問うて、初めて気付く。
「居たのか、シエロ」
主はいつもと変わらない、飄々とした声で言う。
傍目には傷もなく、元気に生きている。
その皮一枚捲れば、魂が砕けて溶けているのが見えるだろう。
初めて見る、壊れるそれに、シエロは戸惑う。
これが死ぬ、と言う事であり。
自分はそれを運ぶのか、と。
「あら、ご主人様は今日も元気ね!」
けたたましい声が頭上から響き、シエロは牙を出して睨む。
「うるさい、頭の上で吼えるなジュノー」
「唸らないでもいいじゃない、シエロ!」
犬猿の仲とも言える、二人の運ぶ者。
「まあ落ち着け、二人とも」
そしてそれを宥める、主。
「今日はどんな空模様だ? 雨は降ってなさそうだな。
 陽は、そろそろ長くなってきただろうか」
「嗚呼、いい天気だ。
 だが少し雲が出てきている、冷えそうだぞ」
「そうね、その格好じゃきっと寒いわね。
 従者さんに羽織るもの持ってきてもらったら?」
そうだな、と主は答える。
冷気が、その剥き出しの肌から主を包む。
芯を、少しずつ、砕いて溶かしていく。

その時は、近い。

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2010.01.30 | | Comments(0) | Trackback(0) | Last Memory

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